私の店で浴衣を買っていただくと必ず下駄が必要になりますが、私の取引先には中国製の下駄しかありませんでした。日本製の下駄を扱うために取引先を探すことになりました。しかしそれが、こんなに大変な苦労をするとは思いませんでした。

私の店がある商店街には草履下駄専門店がありました。夏には沢山の下駄があり当店で浴衣を買われた方にはその店の下駄を勧めていました。日本の履き物専門店が全国で沢山ありましたがその多くがなくなりました。草履下駄専門店を立ち行かなくしたのは呉服専門店です、呉服専門店で振袖を売ったときは草履専門店に相談していたのですが、京都の呉服問屋が草履を扱うようになり、草履とバックをセット販売するようになり、しかも高品質ではない低品質の品を安く売るようになり、場合よっては草履バックは進呈する対象になり、草履バックが草履専門店で売れなくなりました。それから間もなく草履専門店は次々に無くなって行きました。

そしてとうとう中国製が登場します。低品質の下駄や草履が市場を席巻することになって15年が経ち、日本製の品質の良さと懐かしさで、日本製を探す方が増えてきましたが、私の取引先には下駄を本格的に扱っている問屋が無く、もしあっても鼻緒はすでにすげてあり価格もとても高くなりサイズも決まっているので、いろんなサイズの方に対応できない状態でした。それで京都の呉服問屋に相談することを諦めました。

後で知ったことですが、下駄の台は殆どが桐でそれに加工をすることでたくさんの種類が出来ます。桐台は何処でも扱えるのですが加工の種類によって産地が全国に分布していました。津軽塗は津軽、桜皮は角館、畳表、ゴマ竹、黒塗り、鎌倉彫り、神代杉、焼き、それから形は様々で二枚歯、草履型、こっぽり型、雪駄型、細形、小判型、角形、など沢山の種類の他にサイズがS,M,L,LL,LLL,子供物があり、女性用や男性用、数えて行けば、ほとんどの店は下駄を扱うことを諦めます。

そして次の難問は鼻緒です、下駄の鼻緒を挿げることのできる呉服屋さんはないので鼻緒を扱っている問屋はありませんし、教えてもくれません、鼻緒は下駄用と草履用がありますがそれを探すのさえまったく伝手がありません。しかも下駄台を製造しているところと鼻緒を作っているところはまったく別でした。そして下駄を扱うことを諦める二つ目の難問です。

この難問をクリアするためには努力もしましたが偶然の出会いが私を助けました。次回は下駄台を探す旅に出ます。